重層化されたイメージ 雪と十字架(黒と白)
013/8/4 俳写倶楽部定例会-50回 ※プリント用
重層化されたイメージ
西洋美術館から一歩外に出ると、思いがけぬ大雪。庭の「地獄の門」に雪が降り積もっています。そう滅多に撮れる光景ではありません。帰宅を急ぐ人々尻目に、カメラ片手に門の前に進みます。門衛さんが訝しそうにこちらを観察しております。
「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」と詩人ダンテは神の門を詠い、ロダンはダンテの叙事詩に触発され、地獄門の制作を思い立ったといわれます。
俳写も、群像を次第に覆い隠して行く雪に急かされて、一写一句。
● 一切の望み捨てよと雪の降る
尊晴
ほとんど写真も句もその場からの借り物、寒さの中でつい口にした言葉、お許しを。
さて、突然の豪雪で電車も一時ストップ、ほうほうのていで地獄より帰宅、早速写真に句を配置してみます。たて位置の白抜き文字は十字架を暗示し、白い雪と黒い門との対比は、この世の分岐点としての表徴です。地獄の門のイメージが重層化されました。
ページへ