空間に語らせる‥‥借景たしか根岸色
2013/3/3 俳写倶楽部定例会-45 ※プリント用
空間に語らせる
サギ草まつりの盆栽苑で、ある思いが浮かんで来ました。「床の間の壁の色は、確か根岸色という名だったと思うが? 」
それだけの思いを句として、写真に付けてみました。
● さぎ立つや借景たしか根岸色
観る者の目は、サギ草から背景の壁に移動します。「ホウ、あれが根岸色か… ? 」
写真と句をそれぞれ鑑賞すれば、主旨が不明瞭で、作品としては成り立っていないようです。しかし両者を並列することによって、写真の説明ではない、作者の根岸色に関する想いが、床の間の空間に浮かび上がります。
写真は完成を目指さず、句も不足を満たさず、両者が補い合う方向を画面上にゆだねます。もう一つ別の世界がそこに湧出すれば… 。まさしく俳句と写真の融合です。
根岸色:ねぎしいろ
●上等な壁土を根岸と読んでいた。その根岸の壁の色からきた緑みの鼠色。やや緑がかった薄茶色。
●根岸壁のような色なので、この色名になった。
ちなみに、根岸壁とは、根岸土という砂質の上等な上塗り用の壁土で塗った壁の事。