藤の実と戦 (いくさ)   153回

2022/3/6 俳写倶楽部定例会-153回  ※プリント用 access

 

 藤の実と戦


藤の実と戦   

 「今月の俳写」も常の如く、行き詰まります。
 朝からTVでは、ロシアのウクライナ侵攻のニュースで持ち切りです。外は快晴の散歩日和、気晴らしと、行き詰まり俳写の素材探しを兼ねて、散歩に出掛ける事にします。
 途中にある藤棚の下で、空気が乾燥しているのでしょうか、突然ビシリ‼ と藤の実が足元にはじけ散りました。驚いて見上げますと、藤ツタの先に枯れて反り返ったサヤが一〜二本かろうじてぶら下がっています。
 二月も末の黒く小さな藤の実を拾い上げて…、ここは俳写を一点制作しなければなりません。
 おのずと、藤の実の破裂音から突き動かされたイメージは、ウクライナに続々と侵攻するロシア軍戦車の隊列です。

           ● 藤の実を 弾き飛ばした 戦かな   尊晴

 写真は殺風景な藤棚の影と、はじけ放り出された藤のサヤのスナップです。
 アジアの片隅、この平穏な散歩道にも、痛ましくも不条理な戦場の光景が、ヌ〜ッと、立ち現れてきました。


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